もやしの値上げ報道を例に、「安物買いの銭失い」について語ってみる

こんにちは。ぽてっちです。
最近何故か肌荒れが止まりません。

スポンサーリンク
レクタングル(大)

もやしが値上がりするかもしれません

ところで少し前ですが、テレビでもやしが値上げになるかもしれないというニュースを見かけました。

ネット上でも取り上げられていました。

「もやし生産者の窮状にご理解を!」「このままでは日本の食卓から『もやし』が消えてしまうかもしれません」――もやし生産者の業界団体が発表した声明に、反響が広がっている。お手頃な値段のもやしは、庶民の味方としておなじみだ。しかしその「安さ」が災いして、コスト増に対応しきれず、廃業する生産者が相次いでいると団体は訴える。

もやし農家が今の価格で利益を出しながら生産していくのが難しく、生産者協会から正式に「値上げをさせてくれ!」という声明が上がったそうです。

J-CASTニュースによると、数十年もの間、物価が上昇しているにも関わらずもやしの価格はむしろ下落傾向で、人件費や燃料費、原材料費などの生産コストが年々高騰しており、健全な経営が出来ていないそうです。
もやしの生産者数もこの8年で半数近く廃業してしまったとか…。

私が見たテレビ番組のインタビューでは、
もやしが値上げなんて困る!
もやしはうちの家計を支えてるのに!

と値上げに否定的なスーパーの買い物客達が映っていました。

またスーパーの店長さんも

もやしは一番よく売れるし、値上がりするとお客さんが困るのでなんとか値上げは抑えたいです
と答えていました。

テレビのテロップには、
もやしの危機!?食卓から消えるかも!?
なんて煽り文句も出ていました。
(もちろん値上げに好意的な意見もネットでは多く見られましたよ)

正直私は、激安のもやしが値上げだよ!皆困るよね!?っていうテレビの煽りにとてつもない違和感を覚えました。

もやしが数十円値上がりしたところで誰も困らないでしょ!
いい加減にしなさい!
と怒りしか湧きませんでした。

まぁ消費者に不安を煽るタイトルの方が視聴率が上がるので、わざとやっているんでしょうけど。
私は前に営業をやっていたので、こういう話になるとついつい色々な思いが爆発してしまうんですよね。
今日は私の怒りの理由と皆さんにお伝えしたいことがあるので、ぜひ聞いてください。

もやし農家が困窮している背景

もやしのお話から入ったので、まずはもやし農家さんたちが何故こんなに苦労しているか、その理由と背景を簡単にご紹介しておきます。
直接生産者の人から話を聞いたわけではないので、半分くらいは私の憶測です。

生産者を取り巻く状況

通常、自由競争の市場であれば、大量生産や無駄を無くしてコストを抑え、かつ品質の良いメーカーが利益を上げ、生き残っていくものだと思います。
あるいは、付加価値を生み出し他社製品とは明らかに差があり、値段は高いけど買いたくなるような商品を生み出しているような会社も残っていきますね。

でも今回の件は違います。

取引業者の都合で値下げをさせられてきたんです。

目玉商品があるとスーパーにお客さんが沢山来る…
隣のスーパーより1円でも安くしきゃ…

力関係は小売(直接商品を買う側)の方が強いから、生産者は言うことを聞くしかなかったということですね。

取引先のスーパーから

値下げしないなら、他の生産者に変えるぞ!

なんて言われたら何も言い返せません。
もやしは日々新しいものが出来るし、日持ちもしないので、明日から急に売り先を探すのは至難の業です。
場合によっては他のスーパーへも買い取らないように圧力を掛けられたりしているかもしれません。

おそらくこのような理由で、もやし農家は自分たちの生産コストとは全く無関係な理由で、これまで不当な安売りを余儀なくされていたと考えられます。

小売店側の思惑

小売店はなぜ安いほうがいいかというと、他の小売店より単価を下げることによってインパクトのある販売価格にして、お客さんに沢山買ってもらいたいという思惑があるからです。
薄利多売の論理ですね。
そりゃあ同じものなら安い方がいい。

小売店も中には中間利益をたくさん取っているところもあるとは思いますが、ここ数年のスーパー業界の利益率を見る限りでは、小売店も決して不当に上乗せしているわけではなさそうです。

スーパー業界の利益率ランキングを掲載。最新のランキングとともに、シェアなども合わせてをご覧ください。

セブン・アイHDは2.7%と比較的高い利益率ですが、イオンの利益率はたったの0.1%
100円売っても0.1円しか利益がありません。
1億売っても10万円。正社員1人分の月給にも満たない。
正直いってこれは恐ろしいことです。

とにかく安く沢山売って、どんどん値引きもして、お客さんに喜んでもらいたい。
そのためには仕入先を安く買い叩いて、自分たちの販売価格も下げてサービスサービス!
安くすることがお客様への一番の還元だ!
というような事を言っている小売店が多いように感じます。

以上が私の憶測です。

安売りして喜ばれるのは最初だけ

でもね、値段が下がってお客さんが喜んでくれるのは最初のうちだけなんです。
これホントに。
私も別の業界で営業職をやっていましたが、これだけはどの業界も共通しているはずです。

というのも、しばらく時間が経つと、ほとんどの人が「その値段が当たり前」になってしまうんですよ。

初めは買う側も
こんなに安くしてくれるの?ありがとう、買わせてもらうね。
って言ってくれるんです。

でもお客さんってそんなことはすぐ忘れちゃうんです。
自分が必死こいてないから。
原価なんて知らないから(というか知られてはいけませんね)。

今の価格が「ギリギリ何とかやれてる価格」でも、時間がたてばそれに慣れてしまいます。
買うたびにメーカーやスーパーの決算書なんていちいち調べてません。

そしてしばらくすると、更には
ねぇ、何でもっと安くならないの?
と苦情とも言える次の値引き要請がやってくるんです。

あるいはおバカな競合他社が更なる値下げをしてきます。

お客さんも
なんだ。他がもっと安いんだからまだまだ余裕あるんじゃん。
と勘違いしていきます。

そしてこれは永遠に繰り返されます。

この現象が価格崩壊というやつです。

安売りは麻薬みたいなもの

まあ当然ですが、人間同じものを買うなら1円でも安く買いたくなるものです。

あの店は5円安い
こっちの店の方が10円安かった

理想を言えば、0円に近ければ近いほど良いんです。
最上級はタダ

でもね、こんな事を続けていると、買う側はうわべの販売価格しか目に見えなくなってしまうんです。

しまいには「商品は違うけどどうせ中身は大体同じだから、一番安いのを買っておけばいい」なんて言い出します。

安いものを求め続けるというのは、麻薬中毒のようなものです。
私はこの状態を「安物買いお化けに取り憑かれている」と言うことにしています。

安物買いお化けに取り憑かれると視野が狭くなる

もやしのニュースの話に戻ります。

私は冒頭で、数十円もやしが値上がりしたところで誰も困らないと言いました。

で、もしかすると、
お前が金を持ってるから分からないだけだ」とか、
本当の貧困を知らない」という声があるかもしれません。

でもね、よく考えてみて。

他に切り詰めるところは沢山あるよ。
本当に家計全体をきちんと把握してそんなこと言ってる?
お金がない!1円でも安い物を買わなきゃ!って騒いでる人たちの殆どが、お金の流れをきちんと把握できていないんです。

例えば、スーパーは1円でも安いところを探し回るくせに、交通費(ガソリン代や電車代)を考慮していない。
(それを趣味として楽しんでる人は別)

あるいは、相変わらず携帯電話は大手キャリアのクソ高いスマホを契約していて、一人あたり月に8000円も9000円も料金を支払っているとか。
ブランド物や洋服を衝動買いしてしまったりとか。

一旦「安物買いお化け」に取り憑かれると、支出の中で一番減らしたらパンチのある出費を削ろうとしないで、これ以上時間を使っても意味がない所ばかり気にしてしまうんです。

もやしとか、豆腐とか、卵とか、支出の中で1%にも満たない部分にばかり目を向けてしまい、肝心の支出がいつまで経っても減らせない。
むしろ本当は収入を増やすという手段もあるはずなのに、選択肢にすら挙がらない。

これがお化けに取り憑かれた状態です。

私が経験した「安物買いの銭失い」の事例

安物買いお化けの最も恐ろしいところは、「1円でも安く良いものがほしい」だったのが、気づくとやがて「単価さえ安ければ商品の中身はどうでもいい」になってしまうことです。

私は以前、養豚場や養鶏場向けののエサの営業をしていました。
エサって成分や栄養素のバランスがとても大切で、すぐに生産性に影響するんです。

当時ある取引先から「今少しだけ助けて。安くしてよ。」と言われ要望に応じました。

すると数ヵ月後、態度は急変。
エサなんてどこのメーカーも皆同じだ!まだまだ利益があるんだろ?とにかく安くして持ってこい!
と。

最初はライバルメーカーも値引きを頑張っていましたが、行く度にそんな調子で圧力をかけられるばかり。
途中から利益も全くなくなり段々と赤字になっていったため、製品の成分レベルを落としたりしているようでした。
(確証はありません。仮にレベルを下げていたとしても最低でも標準レベルはあります。誤解のないように)

私は赤字を継続するのもクオリティを落とすこともしたくなかったので、丁重にお断りしました。
その後お客さんに「どうして対応しないんだ!」と散々どなり散らされましたが、私は今もこれが間違っているとは思えません。
できないものはできないんですから。

その取引先はここ数年で明らかに生産性が落ちて利益も減っていましたが、それに気づかず、エサが高いせいで儲からない!といつも怒っていました。

私はその後会社を辞めてしまったので今はわかりませんが、あの経営方針でまだやっているとしたら、10年後には潰れている可能性が高いでしょう。

元はといえば、「値段だけじゃだめです!きちんと生産データを共有しましょう!」とはっきり言えなかったメーカー側にも原因はあるかもしれませんね。
責任をとる必要は全くありませんが。

まぁとにかく、安物買いお化けに取り憑かれるとはそれほど恐ろしいことなのです。

これが安物買いの銭失いです。

私が伝えたいこと

長くなってしまいましたが、私が一番言いたかったことは、

過度な値下げはサービスなんかじゃない!

これだけです。

原価よりも安く売ったら生産者は赤字になるし、
販売者はその分更に安く売ろうとするし、ひどい時は赤字。
購入者もその値段に慣れ、「安さ」に取り憑かれてお金の本質を見失ってしまう

誰も幸せにならないのです。

もやしの話でいえば、小売店にどうかこれ以上安売り合戦をやめて頂きたい。
こんな不毛な商売をしなくても生産者が生き残っていけるシステムが出来てほしい。

私の力で出来ることといえば、明らかに不当に安いセールで物を買わないこと、そしてこうやって文字を打つことくらいだけど。

お金を使う際に覚えておいてほしいこと

そして最後に、物を買う際に覚えていてほしいことをお話しします。
長くなりましたがこれで最後です。

どんな物にも原価がある

当然のことですね。
物の値段というものは、原材料費に人件費、燃料費、加工賃、お店までの運賃、お店の賃料などが乗り、それに利益が上乗せされることで初めて決まります。

半額セール」「今だけ無料」というのは元々半額を予想しての価格設定か、今後の購入促進のために販売側が投資しているだけです。
永遠に安さが継続するなんてあり得ないということを念頭に入れておきましょう。

原価を抑えるのには限界がある

安く販売する為に生産コストや運送コストを抑えるのは会社として当然のことです。

しかし、物には限度というものがあるのです。

頑張ればどんどん安くなるなんていう話はありません。
電気屋さんなどで、

値切ったらこんなに安くなった!
交渉次第でどれだけでも下げれそうだ。

なんて話をたまーに聞きますが、必要以上に値切るという行為は悪魔の所業でしかありません。
値切るのならば、その代わりに買う量を増やすとか、購入時期を早めるとか、相手の利益を損ねないように交渉材料も用意しておいてください。

安くしろ安くしろと喚くだけならただのクレーマーです。

見かけの価格に惑わされないこと

物を買う時はその価格だけではなく、品質、数量、産地、食べ物なら鮮度や味にもきちんと目を向けましょう。

良いものは高いんです。
それは仕方がないことです。

お値段以上の買い物をしていると感じているなら、その裏で生産者が困窮しているか、知らないうちに中身が劣化しているかのどちらかでしょうね。

支出を抑えたいと思うなら、現状を冷静に分析すること

今お金がなくて困っている人。

一度お金の出入りを冷静に見直して下さい。
きっと恐ろしく何かに使いすぎているか、恐ろしく収入が少ないかのどちらかです。

自分の身の丈にあったお金の使い方をしましょう。
無駄な出費を見つけたらすぐに対策を取りましょう。
それが出来ないなら頑張って稼ぎましょう。

そしてきっと、もやしや豆腐の値段が変わったからと言って対して家計に影響は出ません。
ニュースで煽られても真に受けないように。

長々と語ってしまいましたが、私の言いたいことが1ミリでも伝われば幸いです。
それではまた。

スポンサーリンク
レクタングル(大)

コメント

  1. . より:

    もやしで数十円の値上げって、パーセンテージに直せば100%以上の値上げだよ?
    もやしが10円でも値上げされたら買わない。もやしにそこまでの価値は無い。
    なまっちろくて栄養も少ないから、他の野菜を買う。

    • ぽてっち より:

      初めまして。
      コメントありがとうございます。

      おっしゃる通り、少しでも値段が上がれば購入しないという人も街頭インタビューでいたので、もやしに対する価値は人それぞれ異なるのでしょうね。

      私個人としては、現状の価格から100%以上の値上げとなったとしても、これだけのコストパフォーマンスでカサと食物繊維、特有の食感を持つ食品は他にないし、値上げが家計に及ぼす影響も微小なので購入し続けますね。

      いずれにせよ生産者にとっては厳しい状況が続くと思いますが、なんとか頑張って頂きたいですね。

      ご意見ありがとうございました。