こんにちは。ぽてっちです。
歯茎に口内炎ができました。
超痛いです。
Twitterで賛否両論になったアニマルウェルフェアという考え方
さて先日、NHKの「所さん!大変ですよ!」という番組で、アニマルウェルフェアについての放送があったようで、Twitterで話題になっていました。
私も観たかった〜。
放送後Twitter上では、アニマルウェルフェアという考え方に対し、賛否両論様々な意見が飛び交っていました。
いまNHKでアニマルウェルフェアの話やってる。あまりピンとこないという街の声があったが、死を迎える直前まで自由であること、出来るだけ苦痛を感じさせないことなど、多くの狩猟者はきちんと意識しているぞ。すごく当たり前の話なのになあと思いながら見てる。#nhk #所さん大変ですよ
— 桔梗屋@Deer Culler (@r_kikyoya) July 27, 2017
案外アニマルウェルフェア賛成の方が多いんだ。。
人間に例えてる人もいるけどナンセンスでしょ。人間は人間より上位の生物に屠殺されないもんね。。。大人になったら殺すけどそれまで幸せに生きなさいなんてよく言えたもんだ。気持ち悪い。。— たねんぼ (@tanenbo_00) July 27, 2017
などなど。
この放送、動物の福祉について考える良い機会になったのではないでしょうか。
アニマルウェルフェアとは
そもそもアニマルウェルフェアって聞き慣れない言葉ですよね。
これ、どういう意味かというと、直訳すると「動物の福祉」。
Animal(動物の) Welfare(福祉)ですね。
さらに福祉という言葉は、
福祉(ふくし、英: Welfare)とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉であり、すべての市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念を指す。
Wikipediaより引用
となるので、一言でいえば
「全ての動物に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念」
ということになります。
畜産現場におけるアニマルウェルフェアの定義
実際の畜産現場では、さらに具体的な定義や指針が示されています。
農林水産省によると、国際獣疫事務局(OIE)のアニマルウェルフェアに関する勧告の序論では、「動物がその生活している環境にうまく対応している態様」と定義されています。
そしてアニマルウェルフェアの状況を把握する上で、以下の「5つの自由」が役立つとされています。
その5つの自由というのが、
- 飢餓と渇きからの自由
- 苦痛、傷害又は疾病からの自由
- 恐怖及び苦悩からの自由
- 物理的、熱の不快さからの自由
- 正常な行動ができる自由
というもの。
つまりざっくり言えば、「上の5つを満たしていればアニマルウェルフェアに配慮していると言えるだろう」ということになります。
実は、日本もアニマルウェルウェアには加盟しているんですよ。
ただ諸外国に比べると浸透が非常に遅く、実質的には加盟していないのとほぼ同じ状況と言わざるを得ないのが現状です。
動物愛護との違い
ちなみに、よく耳にする「動物愛護」の定義は、
“動物を人間と同一視しようとする理念に基づき、動物を大切にし、愛そうとする精神。”
(大辞林 第三版より引用)
というもので、動物も人間も同じ!という精神です。
基本的にはペットや動物園などの動物に対しての考え方であり、また人や団体によって定義が異なるため、畜産現場でのアニマルウェルフェアとは分けて考える必要があります。
アニマルウェルフェアって、実際に何がどう変わるの?
定義を言われても、実際に従来の飼育方法と何が変わるのかが良く分からないですよね。
というか、従来の飼育方法さえ私たちは良く知らない事の方が多いですよね。
分かりやすい具体例を2つ挙げておきます。
ブロイラー:飼育密度を減らす
ブロイラーとは鶏肉になるニワトリのことです。
彼らは上の写真のように体育館のように広い鶏舎で、大量に飼育されています。
孵化して数日で連れてこられ、出荷まで同じ場所で過ごします。
ひよこの頃は飼養密度もそれほど高くないですが、大きくなって出荷間際になるともうギッチギチです。
人間の感覚だったら1畳もないんじゃないかな…。
例えばこれを
「飼養密度は1羽あたり○○平方センチメートル以上設けること」
という一定の基準を設けるのがアニマルウェルフェアの考え方の一つです。
養豚:母豚のストール飼育を禁止する
我々が普段食べている豚肉を産むためのお母さんブタ。
それが母豚です。
従来は上のようなストールと呼ばれる柵の中に母豚を入れて飼育していました。
しかし欧米諸国ではアニマルウェルフェアに対する関心が高まっており、現在ではストールを廃止する流れが急速に広がっています。
上の画像は海外のフリー素材サイトから転載しているのですが、ストールの中でブタを飼育する画像が全く見つかりませんでした。
それだけこの流れが広がってきているということでしょう。
ちなみに日本ではまだ9割以上の養豚場がストールで飼育をしています。
アニマルウェルフェアの流れが日本にもやってくると、畜産の現場では上で挙げたような変更を余儀なくされます。
この他にも、換気、温度、エサ、水など様々な点において動物が快適に過ごせるような指針が示されています。
そもそも経済動物ってどんな風に飼育されてるの?
と気になる人は、私が以前書いた記事も読んでみて下さい。
グローバル社会における今後の広がり
アニマルウェルフェアという考え方は元々ヨーロッパで始まったものです。
現在ではEU諸国だけでなく、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等でも次々と従来の飼育方法を規制する条例や法案が通っており、あと10年もすればこれらの国の全ての生産者が飼育方法が変わっていることでしょう。
日本は正直言って、この点に関しては全然まだまだです。
先ほど挙げた飼養密度の低減やストールの廃止を実施している生産者は全体の5%にも満たないでしょう。
それどころか、アニマルウェルフェアに関心のある生産者や消費者は今のところ半分以下という状況です。
アニマルウェルフェアが日本に及ぼす影響
欧州やオーストラリア等、アニマルウェルフェアの関心が高い国々と関わるグローバル社会の中で今後予想される影響としては、以下のようなことが既に懸念されています。
オリンピックで国産肉が使えない!?
2020年の東京オリンピックでは、畜産物の提供に関して、動物福祉への対応を含む生産管理の日本版認証「JGAP」などの取得が必要となりました。
この認証はEUの規制ほど厳しいものではないそうですが、果たしてどれだけの生産者がこの認証を取得できるかはいささか不安です。
国産肉が不足した場合、東京五輪のためにヨーロッパ諸国から畜産物を輸入しなければいけなくなる状況も十分に予想できます。
日本のお肉を輸出できない!?
こちらのニュースでは、日本がEUとの経済連携協定(EPA)交渉で、日本のEUへの畜産物の輸出の交渉にあたって「動物福祉」がネックになるかもしれないという記事です。
そりゃあいくら日本側が「日本の物は素晴らしいんです!」と言ったところで、動物福祉を無視した畜産物なんてEUが輸入したくないのは当然だと思います。
動物福祉のルールを作った人達ですからね。
とりあえず今日はここまで。
次回はアニマルウェルフェアを議論する上で皆さんに知っておいてほしいことや、私個人の考えなどをお話しします!
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