宅建士試験合格体験記~妊娠&子育て中の勉強方法について~

仕事

第二子妊娠中に宅地建物取引士試験の資格勉強をしていましたが、
令和6年度試験で無事に合格しました!
今回は、使用したテキストや勉強方法、妊娠中でも合格するためのポイントなどについて
ご紹介します。

宅建とは?

そもそも宅建資格とは?という方のために簡単に。
宅建とは、正式には「宅地建物取引士」という国家資格のことです。
下記の行為
宅地建物の売買や賃貸(代理・媒介)における
・契約前の重要事項説明
・重要事項説明書(35条書面)に記名し、説明内容に責任を持つこと

・契約書(37条書面)の記名
において必須の資格です。
また、宅地建物取引業を行う場合、事務所内に従業員5人につき1人の専任の宅建士を必ず置かなければならないという規定があります。
つまりは、不動産業界ではほぼ必須の資格です。
ほとんどの会社で、不動産営業職の方は資格取得することを推奨されているそうです。
資格手当がつくこともあったりして、不動産業界に転職したい方や、
すでに不動産業界で働いていて給与アップを希望する方にはオススメの資格です。

 

宅建試験の難易度

以前は比較的簡単な試験と言われていたそうですが、受験者数の増加や試験内容の難化により、
徐々に難関資格となっているようです。
試験の形式としては
・マーク式の50問(条件を満たせば5問免除あり)
・試験時間は2時間
・合格率は15~18%前後
というものですが、主要な法令である宅建業法はもちろんのこと、
建築基準法、都市計画法、民法、借地借家法、区分所有法、
所得税や地方税などなど、不動産や不動産取引に関わる
幅広い分野から出題される試験となっています。
私の受験した年度(令和6年度)については、申込者数が過去最高の30万人超えで、民法の難問奇問が多かったにも関わらず合格最低点は50点中37点と高めだったため、かなり厳しい戦いでした。

個人的の感覚にはなりますが、以前受験した簿記2級と比較すると
難易度や勉強時間は宅建の方が上ではあるものの、
ほとんどが暗記項目であるため、机に向かって勉強する必要がなく、ストレス少なく楽しく学習できました。
(簿記は計算問題解きながら凡ミスでイライラ&絶叫ばかりしていました)
ただ、宅建に関しては一年に一回しか試験を受けられないため
プレッシャーは大きいかもしれません。

また、法律に触れたことがない方にとっては「後見人」「善意・悪意」
など、見慣れない言葉がわんさか出てくるので
言葉の定義を覚えるだけで苦労する可能性もあり、
学習に時間がかかるかもしれません。

少なくとも、不動産業界未経験者が気軽に受けてもまず受からないし、
1~3ヶ月で合格できるような簡単な試験ではない!

ということです。
よほど賢い方でない限り、ネットの短期間合格可能!といった言葉を信じず
半年前くらいから取り掛かることをオススメします…

 

宅地建物取引士を目指したきっかけ

私は以前、役所で税務の仕事をしていました。
固定資産や住民税などの地方税だけでなく、確定申告も行っていたので
所得税についても詳しく知ることができました。
残業が多く子育てとの両立がしんどくなって辞めてしまったのですが、
税金や不動産について知識を深められるだけでなく
自分の知識で困っている方の助けとなることができる
税務の仕事自体はとても楽しいと感じました。

今後も仕事をするなら、税か不動産に関わる分野で資格を取り、
お客さんに信頼してもらえて、悩み事を専門知識で解決できるような
仕事をしたいと思うようになりました。

そこで、興味のある分野で資格を取ろうと思い
税理士・司法書士・宅建士
の中で検討したのですが、
妊娠期間中に完結できる資格
生活を犠牲にしすぎない資格
という条件を満たしてくれるのが宅建士でした。
税理士や司法書士は数年単位で1日何時間も勉強が必要で、
試験合格後もハードワークが続くイメージがあり
今後しばらくパートか時短で働きたい自分にとっては
まだそこまでの覚悟がありませんでした。
まあ不動産業界も楽ではないけどね…。

 

使用した教材・学習方法

基本テキスト

基本的な学習に使用したのはTACのテキストです。

2025年度版 わかって合格る宅建士 基本テキスト
https://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/111439/

以前TACの簿記のテキストを使用した時にお世話になったので
今回もTACを購入したのですが、
文章が多くて繰り返し読む気にならなかったことや
よく出題されるが書いていない項目なども多々あったので
正直あまりおすすめしません…。

一問一答問題集

問題集も同じくTACのものを使用しました。
TACは問題集の解説が、法律用語を多用しすぎず、
初心者にも分かりやすく理解できるのが魅力です。
法律知識がない方はテキストは他社のものを利用し、
問題集はTACを使用するのがオススメです!

2024年度版 わかって合格る宅建士 一問一答セレクト1000(旧:わかって合格る宅建士 一問一答セレクト600)
TAC株式会社(宅建士講座) 編著
https://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/110870/

過去問

過去問は宅建試験ドットコムでH12~R5年度分を印刷して解きました。
有料会員(490円/月)登録して解説も読みました。
民法改正部分は問題を作り直してくれているものもありますが
無理矢理手直しした感が否めず、混乱することもあったため
解説を鵜呑みにしすぎない方が良いかもしれません。

宅建試験ドットコム
https://takken-siken.com/

暗記項目定着・知識の補足

宅建試験は法律(特に民法)の理解が必要ですが、
特に宅建業法や法令制限においては暗記も重要です。
ですが、テキストを読んだだけでは中々記憶として定着しなかったので
平行して棚田先生のYoutube動画を見るようにしていました。

棚田行政書士の不動産大学【公式チャンネル・宅建】
https://www.youtube.com/@fudousandaigaku

棚田先生は同じ分野について、聞き方を変えて何回も
問題を出してくれるので、記憶の定着にはぴったりでした。
また、重要事項説明や用途制限などは覚えることが多く大変でしたが、
替え歌を何度も聴くことで暗記がはかどりました。

棚田先生の基本方針は、
・短時間の動画を繰り返し聞いて覚える
・民法は最低限取れればいい
・宅建業法の基本を完璧に!
なので、子育て中の方などにはぴったりです。
私も子どもと一緒に動画をみていたら、子どもも替え歌を覚えてくれて
楽しく学習できました!
ただ、民法については基本分野や最頻出分野に絞った動画が多いため、
民法をきっちり学びたい方は吉野先生や宮嵜先生の講座などが
良いのかもしれません。

模試

試験本番2カ月前頃から模試を解くようにしていました。
模試を解く目的は
・初見の問題に対応できる力をつける
・知識の腕試しをする
・試験慣れする
ことだと思っています。
過去問とその答えを無意識に丸暗記している場合、
模試では初見の問題に太刀打ちできません。
それは本番でも同じことです。
模試は必要以上に受ける必要もないとは思いますが、
過去問だけだと不安なので、最低5回分くらい解いておけば良いのかなと思いました。
私が使用した模試は下記のとおりです。

2025年合格目標 宅地建物取引士 独学道場【わかって合格る】『テキスト』『問題集』なしパック
https://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/048737/

2024年版 出る順宅建士 過去30年良問厳選模試
https://online.lec-jp.com/disp/CSfLastGenGoodsPage_003.jsp?GOODS_NO=100231305

LEC
・0円模試
・実力診断模試

この中で、LECの良問厳選模試については過去問を抜粋しているので
新しい問題に慣れるという趣旨からはずれてしまうのですが、
本番はこの本から何問も同じような問題が出題されたので
紹介させていただきました。

TACの予想模試は正直「そんな問題出ないだろ~!」という感じでしたが
難問奇問だらけの試験本番でも、この模試のおかげで
冷静に対処することができました。

使用した教材と学習方法についてまとめると
約半年前から学習開始(うち丸2カ月はつわりでお休み)
・知識習得はTACのテキスト
・足りない知識と記憶の定着はYoutubeで棚田先生の動画を見た
・過去問は一問一答問題集と宅建試験ドットコムの過去問27年分
・一問一答は2周+間違えた問題1周
・模試は2カ月前頃から12回分くらい解いた
といったところでしょうか。

学習時間・費用

学習時間については、実質4カ月の間、
基本的に月~金の週5日×2.5時間程度の学習だったので
ざっくり200時間くらいかなと思います。
私の場合、仕事で不動産や民法の基礎知識が多少あったので
割とスムーズに覚えることができましたが、
全く法律に触れたことがない方は300~500時間程度は
見込んでおいた方が良いです。

費用はテキスト代しかかかっていないので、1.5万円程度でした。
これに受験費用約8000円と、合格後は登録実務講習約2万円に
登録費用が約4万円かかります。
予備校に通ったり通信講座を申し込んだ場合、
受講料だけで数万~十数万かかるようですが、
本だけでなく授業形式でしっかり学びたい方にはそれだけの価値があると思います。
私も今後司法書士などの資格取得を目指すなら、独学では厳しそうなので
予備校の講座を申し込むことになると思います。

合格後の流れ

合格後は、2年以上の実務経験者か未経験者かで手続きが分かれます。
経験者の場合、そのまま登録+宅建士証の発行ができます。
未経験者については登録実務講習(通信講座と約2日間の講習+試験)後、
登録と宅建士証の発行が可能となります。
登録実務講習は各予備校で講座が開かれていますが、
合格発表後はどの講座もあっという間に予約が埋まってしまうため、
早めの申し込みがオススメです。

勉強中つらかったこと

私が一番つらかったのは、
妊娠中独特の体調不良と闘いながらの試験勉強でした。

妊娠中はとにかく眠いんです!
初期も中期も後期も一日中ずっとウトウト…。
子どもが保育園に行っている時間は勉強できるはずなのですが
貴重な勉強時間を睡眠に充ててしまったことは数え切れません。

また、自分の場合はつわりがひどく、妊娠中ずっと気持ち悪かったです。
吐きづわりと食べづわりが同時に発生する日もしょっちゅう。
また、妊娠後期は座っているだけでお腹が張ってしまうことも多かったです。

そのため、とにかく余裕をもって学習計画を立て、
なるべく計画通りに学習を進めるように努力しました。
何度も先延ばしにしましたが、かなり前から取り組んでいたので、
多少の先延ばしでもなんとかなりました。
また、机に向かなくても勉強する習慣を身につけました。
横になりながらスマホで過去問を解いたり動画を見たり…
座らなくてもできることは意外と多かったです。

暇な時間があると余計なことばかり悩んでしまう自分にとっては、
宅建試験の勉強は悩みを忘れさせてくれるだけでなく
国家資格という確かなものを与えてくれる大変ありがたいものでした。
動画を見たり、Twitter(X)で同じ受験生の方の呟きを見たりして
楽しむこともできました。

宅建試験の勉強についてのアドバイス

・なるべく前からコツコツと
ネットでは3カ月で資格取得できた!といった動画や記事が散見されますが、
業界未経験者はこれを安易に鵜呑みにしてはいけません。
私は民法だけで丸1か月かかりましたし、
せっかく勉強したのに反復学習しなかったのですぐ忘れました!
宅建業法は暗記項目が多いのに加えて、
意地悪なひっかけ問題にも慣れる必要があります。
つまり、日々反復学習を繰り返しながら新しい分野も覚えていく必要があるので、
短期間の詰め込みでなんとかなる試験ではないということです。
仕事や家事で忙しいと思うように勉強が進まず、
直前で焦ってしまうので、余裕をもって取り組むことが大切です。

ちなみにYouTubeでお世話になった棚田先生は、
反復学習を計画的に進めていく「紙1枚勉強法」という
勉強法を提唱しており、宅建の勉強にはこれが最適だと思います。

大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法
https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E9%87%8F%E3%81%AB%E8%A6%9A%E3%81%88%E3%81%A6%E7%B5%B6%E5%AF%BE%E5%BF%98%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%8C%E7%B4%991%E6%9E%9A%E3%80%8D%E5%8B%89%E5%BC%B7%E6%B3%95-%E6%A3%9A%E7%94%B0-%E5%81%A5%E5%A4%A7%E9%83%8E/dp/4478114110

・文章を正確に読む癖をつける
先にもお伝えした通り、特に宅建業法を中心に、
宅建試験ではひっかけ問題が大量に出題されます。
例えば
・誤「〇〇の日から起算して~」→正「〇〇の翌日から起算して」
・誤「専任の宅建士をして説明~」→正「宅建士をして説明~」
・誤「調査の有無を説明」→正「調査の有無および内容を説明」
といった感じです。
分かっているつもりでも、50問4択を120分で解くとなると
それなりに素早く文章を読む必要があり、
慣れていないと簡単に引っかかってしまう可能性が高いでしょう。
なので、ただ単に内容を理解する・暗記するのではなく
文章を読むスピードを上げる・正確に読む訓練も必要になります。
スピード上げたい余り、過去問の問題文を暗記して
早く解いた気になってしまいがちですが、気を付けましょう!

・試験を受けることは親しい人以外には言わない
これは棚田先生の受け売りになってしまいますが、私も激しく同感です。
あなたのことを心から好きでない人間でない限り、
他人は頑張って合格してほしいとは思わないです。
たとえ悪気がなかったとしても
「簡単に取れる資格なんでしょ?」
「どうせ受からないって」
なんて言われたら気分悪いじゃないですか。
また、同じ職場の人から妬まれ馬鹿にされたという話もXでちらほら見かけました。
その他、会社で資格勉強中であることを人事に知られて
転職するのではないかと疑われたり、
宅建資格を持っていない上司に妬まれて試験直前に
わざと仕事を増やされて残業させられた人もいたようです。
とにかく、面倒な事にはなっても得することは少ないような気がします。
なので、家族以外には内緒にしてこっそり頑張って、
受かってから報告すれば良いのではないでしょうか。

おわりに

今回試験に合格できたのは、妊娠初期(3月頃)に試験勉強に取り掛かり、
出産予定日の直前に試験を受けることができたという、
妊娠期間と試験日がタイミング的にちょうど良かったというのも大きかったなと感じます。
妊娠期間中はお腹が張ってばかりで、試験当日も会場に向かう道のりでお腹が張りすぎて、カタツムリのような速度で会場に向かいました。
また、妊娠中は頻尿が激しすぎて申し込み時にトイレ近くの席にしてほしいと申し出ておいて大正解でした。
妊婦の方は、当日尿漏れパッドを持参されると良いでしょう…。
試験の1ヶ月後が出産予定日でしたが、早産で試験の数日後に出産となりました。
それでも、宅建試験まではギリギリまでお腹にいてくれた赤ちゃんには感謝しています。
また、一緒に宅建業法の暗記項目を覚えてくれた上の子や、
勉強時間を確保するために子どもと積極的に遊んでくれた夫にも感謝です!

今は無職ですが、今後再就職する際に宅建資格が生かせると良いなと思っています。
宅建は合格率15%の難関国家資格ですし、合格したら社会的にもその努力や有用性が評価されるものだと思っています。
これから資格取得をされる方は、ぜひ頑張ってください!

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