「すべて自分が原因」なの?──自分原因論とその本当の意味

仕事

「自分の周りで起きる出来事は、全部自分に原因がある」
こんな言葉を誰かに言われたことはありませんか?

これは「自分原因論」と呼ばれる考え方です。
高校生の頃、ある先生からこの言葉を聞いたとき、私は強い反発を覚えました。


自分原因論とは?

自分原因論とは、

「自分の周囲で起こるすべての出来事は、自分に原因がある」
という考え方です。

これは「だから全部自分が悪い」「自分が責任を取るべきだ」という意味ではありません。
ただ、“自分の選択や行動が、何らかの形で今の状況を作っている”という視点を持つことです。


10代の私は、この考えに怒りを覚えた

高校時代の私は、こんな状態。

  • 醜い自分が嫌だった

  • 複雑な人間関係にうんざりしていた

  • 親や塾の先生から望まない進路を決められた

そんな中で「全部自分が原因だ」と言われたら、
「じゃあ何もかも私が悪いってこと?」と腹が立つのも無理はありませんでした。

でも、大人になった今、少し違う視点を持てるようになりました。


「悪い」「原因がある」「責任がある」は、全くの別物

✔「悪い」とは?

善悪の問題です。
例えば、人を傷つけたりいじめたりする行為は、明確に“悪い”こと。

たとえ「いじめられる側にも原因があった」と言われたとしても、
それでも悪いのは加害者であることは変わりません。

✔「原因がある」とは?

ある出来事が起こる要因。
たとえば試験で不合格になったとき、その原因が「問題が難しかったから」だとしても、
さらに掘り下げれば「新しい傾向に自分が対応できなかったから」かもしれません。

ここで「自分がバカだから」と自分を責めるのはナンセンス。
善悪の話ではなく、原因を正確に見つける視点が大切なんです。

✔「責任がある」とは?

たとえ自分が悪くなくても、結果に対して行動しなければならない立場。
企業や政治家が「どう責任を取るのか」と問われる場面を見たことがある人も多いと思います。
例えば銀行の貸金庫での盗難事件。
頭取が盗んだわけではありませんが、トップに立つ人間として、被害者への救済や社会的信用を取り戻すための行動をとらなければいけないということです。

つまり、「責任がある」とは

その物事の“後始末”を担う必要がある
ということです。


「自分が原因」とは、自分を責めることじゃない

10代の私の悩みを振り返ってみると、こう解釈できます。

  • 容姿に悩んでいた自分 → 外見を変える行動を取らなかったのもまた自分。

  • 人間関係にうんざりしていた自分 → 距離を取る、付き合い方を変えるという選択肢もあった。

  • 進路を決められた自分 → 抵抗したり、自分の意見を伝える行動もあったかもしれない。

こう考えると、「だから自分が悪いんだ」と責めたくなるかもしれません。
でも、それは“悪い”のではなく、“選択の結果に原因がある”だけなんです。


それでも、自分ではどうにもできないこともある

幼少期の虐待やいじめ、貧困、障害など、
明らかに理不尽で、本人のせいではない状況もたくさんあります。

「自分がその環境にいたことが原因」と言えるかもしれませんが、
それはあくまで現状を変えるヒントを探すための視点です。

理不尽な状況に置かれていた人を責めるための考え方では決してありません。


自分原因論を、人生にどう活かす?

この考え方の本当の価値は、

「これからどうすれば、自分が納得のいく人生を送れるか?」
を考えるきっかけにできる点です。

たとえば私自身、社会人になってから2度の転職に失敗しました。

退職後は「自分が社会不適合なんだ」と自分を責め続けていましたが、
時間が経ってようやくこう考えられるようになりました。

  • 自分が選んだ会社と、プライベートを大切にしたいという自分の価値観が合っていなかった。

  • もっと調べる余地はあったかもしれないが、当時の自分では難しかった。

  • でも、自分が悪いわけじゃない。合わなかっただけ。

今は、プライベートも大事にできる働き方を模索中です。
自分で動き、調べ、少しずつ前に進んでいます。


結局、「自分原因論」は正しいの?

今思えば、高校時代の先生の言葉は、ある意味で正しかったのだと思います。
確かに、自分の選択や行動、環境が今の自分を形作っている

でも、10代の私には、それを理解する余裕も言葉の背景を読み取る力もありませんでした。

30代になった今、ようやくその意味を少しずつ理解できるようになってきた気がします。


解釈は、自分にとって“プラス”になるように

世の中には「自分を成長させる名言」がたくさんありますが、
一言で言われると、かえって傷つくこともありますよね。

だからこそ、自分のペースで、自分にとってプラスになるように
**「解釈する力」**を育てていくことが大切だと思うのです。


最後に

「自分が原因」と考えることは、
“自分を責める”ためではなく、
“自分の未来を自分で創っていくため”の第一歩です。

今うまくいっていないとしても、それは「まだ途中」なだけです。
選び直してもいい、やり直してもいい。
その舵を握るのは、誰でもない「自分」ですからね。

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