美味しいお肉の選び方【脂編】~飼料原料・成分からみた美味しい脂~

豚肉のこと

こんにちは。

前回の記事で、
あっさりしたお肉を食べたいなら「オレイン酸」、
こってりしたお肉を食べたいなら「リノール酸
が脂に多く含まれるお肉を選びましょう。
そしてまた、お肉に含まれるオレイン酸やリノール酸の割合は、エサによって決まるというお話をしました。
実際には脂そのものの割合も大事なんですけどね。

今日は、動物が食べる「エサ」の観点から美味しいお肉の選び方を考えてみたいと思います。

エサに含まれる脂肪酸が、体の中に移行する

Dinner, Man

私は小学校の頃などに家庭科の授業で、
食べたものが自分の血や骨や肉になるから栄養を気にして食べましょう」
とよく言われました。
色々と勉強してみて分かりましたが、これはある意味本当です。

私たち含め動物は食べた物を胃や腸で消化・吸収し、小さな形(分子状)に分解されてから、体内に蓄えたり、活動するのに使ったり、別の物質に合成したりしています。

脂肪も例外なくこれに当てはまります。
つまり、食べ物に含まれる脂肪酸の組成がお肉の脂を構成する脂肪酸に影響を与えるのです。
(ただし、牛などの反芻動物は胃の中で脂肪酸を変換したりするので、エサの脂肪酸組成がそのままお肉に移行するわけではありません)

ちなみに、以前コラーゲンを食べるとお肌がプルプルになる!みたいな風潮がありましたよね。
コラーゲンは糖とタンパク質からできています。
コラーゲンを食べても糖とアミノ酸に分解されて吸収されるだけなので、直接皮膚の下のコラーゲンにはなりません。
皮下注射で打てばもちろんその部分はプルプルになります。そのうち吸収されてしまいますが。
響きの良い言葉に騙されませんように。

あと、貧血だからって血管の多いレバーをバクバク食べても直接赤血球として使われるわけではありません。
血を飲んだとしても同様で、一旦分解されて腸から吸収されます。
貧血の時は安静にしつつお肉や魚中心の食事をし、緊急時は病院に行って輸血してもらうのが一番ですよ~。

 

どんな飼料原料にリノール酸、オレイン酸が多い?

それでは、どんなエサを食べるとオレイン酸が多くなるのでしょうか?

配合飼料に含まれる主な原料は

・トウモロコシ
・マイロ(こうりゃん)
・大豆
・小麦
・大麦

などが多いです。
中でもリノール酸が多く含まれているのは、
トウモロコシ大豆
です。
原穀を乾かした状態で大体50~52%。
オレイン酸は20%程度しか含まれていません。

一方でオレイン酸がトウモロコシ等よりも多く含まれている原料は、マイロ、米、オリーブ、いも類などです。
お米の場合はオレイン酸は30%以上、リノール酸が約35%。
キャッサバなどのいも類はお米よりも更に多いといわれています。
(表で示したかったんですが、大人の事情でごめんなさい)

 

つまり、
トウモロコシよりもお米やマイロ、オリーブ、いも類を使ったエサの方がオレイン酸が多く含まれる
ということになります。

 

脂肪酸でみるお肉の選び方

では、どうやって選べばよいのでしょうか?
2つ方法をご紹介します。

その① パッケージやパンフレットの美辞麗句から真実を読み取ろう!

まず一つ目。
お肉の売り文句にヒントが隠されています。
耳触りの良い宣伝文句におどらされず、言葉の裏を読み取ってみてください。

例えば、ブランド肉のパッケージに
この豚肉はこだわりの飼料を使用して育てました
と書いてあっても、何をどうこだわっているのかがきちんと書かれているかが重要です。
最近はスーパーで普通に扱っているお肉にもこのような表現がされていることが多いので、時間があるときに一度よく読んでみましょう。

元配合飼料メーカー営業職の私が今までに経験した、ツッコミどころ満載な豚肉の宣伝文句を以下にご紹介しますね。

品質にこだわった原料を使用しています
→飼料安全法で定められた基準を満たさないと飼料メーカーはエサとして販売できません。品質にこだわるのはどの飼料でも当然です。

トウモロコシや大豆を独自の配合でブレンドしています
→どのエサにも大抵入っている原料です。原料とスペックを決めた時点で、大体配合割合というのは決まってしまいます。残念ながら、多分一般的なエサと変わりません。

要はトウモロコシを減らし、マイロ(こうりゃん)や米、麦、芋類を多く使用したエサであれば、通常よりもオレイン酸が多く含まれていると思います。

想像できそうな表記でいえば、こんな感じの説明文なら大体さっぱりした美味しいお肉だと思いますよ!

トウモロコシを極力抑え、マイロやいも類を使用した独自の配合のエサを使用して、あっさりとしたお肉に仕上げました。

逆にこれで値段高くてトウモロコシ60%配合で美味しくなかったら怒りますw

マイロやイモ類はトウモロコシと比べると原料費が高く、またマイロに関しては原産地によっては苦みがあるのため、動物があまり喜んで食べません。
従って育つまでに時間がかかります。
そんな訳で、お肉の値段も当然上げないと採算がとれません。

スーパーで一般肉よりも少し高く売られ、あるいは飲食店でもブランド名と説明がメニューにきちんと書かれていることが多いでしょう。

 

その② 脂の色を見よ!~あっさりお肉はピュアホワイト~

実は、トウモロコシの黄色い色素は脂肪に移行することが知られています。
従って、脂が黄色っぽいお肉はトウモロコシを沢山食べて育ったということです。
一方、お米やマイロ中心のエサを食べていると脂は白っぽく、全体的にピンク色になります。

ただし、筋肉の色は品種により赤黒くなったりするものもあるので、とりあえず脂の色を見ておけば確実でしょう。

例えば上2つの豚ロース肉。
上の方は脂に少し色がついていて、下の画像では脂が真っ白なのが分かりますね。
私だったら下のお肉を選びます。
スーパーに行ったら一度見てみてくださいね。
(ちょっと背脂肪少なすぎじゃない?とか色々思うことはありますが今日は省略。)

 

栄養学的なお話

ここまでの話だと、「リノール酸」は悪だ!という印象を与えてしまいますが、実はリノール酸は必須脂肪酸の一つなのです。
それゆえ、絶対に食べてはいけない訳ではなく、むしろ要求量は食べないといけないのです。
ただし、現代人の食生活では過剰に摂取する傾向にあるため、無理に食べようとしなくても普段から十分摂取出来ていると考えられます。

一方、オレイン酸はコレステロール値を低下させ生活習慣病の予防になる、便秘解消に効果があるなど、最近注目されている脂質の1つです。

しかし何事も食べすぎ、食べなさすぎ、極端は禁物です。
食べ物に対して極端に神経質になりすぎず、寛容に色々なものを食べていた方がむしろ健康につながると思います。

 

まとめ

今日はめちゃくちゃ長くなってしまったのでちゃんとまとめます!

☑エサに含まれる脂肪酸が体内の脂に移行する
☑あっさりしたお肉を食べたければ、トウモロコシよりマイロや米などを多く使ったエサを食べて育ったお肉を選ぶと良い
☑あっさり脂の見分け方は2つ。宣伝文句の裏側を読み取ることと、脂の色を良く見ること!
☑リノール酸は必須脂肪酸。何事も食べすぎ、食べなさすぎは良くないので、バランス良く色々な物を食べよう!

 

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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